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by chihiro_1984_20xx
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志望理由書での出会い。
ここ数週間、学部ゼミの後輩に頼まれ、
彼女の妹さんのAO入試の志望理由書を添削していました。
その後輩は、学会の時に一緒に受付だった子。
受付の合間に、私がAOで大学に入ったことや、母の教え子の志望理由書の添削を毎年しているということを話していたのを覚えていたようで、今回、お話がありました。
私も彼女には学会中も学会後も、色々とお世話になっており、何か恩返しをしたかったので、
私だけでなく、第三者の添削も平行して行う、という条件付きで(私は素人なので)、
快く引き受けさせて貰いました。
そんなこんなで、気軽に引き受けた添削。
今回の志望理由書の添削は、私にとっても、自分の人生について色々な事を考えさせてくれるものでした。
まず感じたのは、人との「縁」。
よくわからないけれど、私の周りにはたくさんの出会いが恵まれているようです。
一番最初に送ってくれた志望理由書。私の目に飛び込んできたのは、
「私の将来の目標は家庭裁判所調査官になることだ。」の一文でした。
「自分自身が、人との出会いによって変わったように、少年たちも、人との出会いで変わることができると思う。その手助けがしたい。」
どきっとしました。
まるで自分自身が高校生に戻って、志望理由書を書き直してるんじゃないか、と思うぐらい、
志望理由書の内容は、昔の私が考えていたことが純粋に書かれていました。
あぁ、これは「縁」なんだなぁ、と、直感で感じました。
M2になり、一つの志を持って入った大学での生活が終わりに向かっている私に、
来年から、私と同じ志をもって入学したいと目指す子が出会う。
この出会いは、お互いにとって考えるチャンスを神様が与えてくれたのかも知れないって感じたのでした。
次に感じたのは、自分自身が「法学部で学ぶことの意味」。
彼女が志望理由書を書く中で、一番かつ唯一、引き出していくのに苦労した部分でした。
送ってくれた志望理由書は、コメントで添削を入れて、
最後の頁には、私も調査官を目指してAOを受験したことなんて個人的なことや、
志望理由書に書かなくてはならないことや、考えておくべき事といったアドバイスを書いて返信していました。
2日と立たず、彼女は書き直しを送ってくれました。
そうして、同じようなやりとりが数度、続きました。
毎回、私のつたないアドバイスをきちんと理解してくれて、
彼女の志望理由書は格段に良くなっていきました。
それでも、あと少し、何かが足りない。
志望理由書としては、8,9割、完成している。
なのに、大学のアドミッションポリシーに書いてある、求める学生像を何度読んでも、
何かが足りない気がする、という感覚が払拭できず、とうとう母に相談してみました。
彼女の志望理由書を一読した母は、一言、
「良く書けているけれど、「社会性」がないよね。
「法学部の人間」としての芽を感じさせるような事を書かなきゃね」と、
アドバイスをくれたのです。
「法学部の人間」としての社会性。
なるほど、と思いました。
まだまだ、彼女は「裁判官になる(書き直しの過程で、目標が裁判官に変化)」から、
そういう授業を受けたい、というだけに過ぎない志望理由書だったのです。
法律を覚えたいだけなら、受験予備校に行けばいい。
「法学部」で学問を修めることの意味は、もう一歩進んで、法律を学び、制度を学び、
それを「変える側」の人間として、どのように変えていくべきかを考えるためにある。
それが、法学部の人間として社会にコミットしていくための方法なんだと気がつきました。
大学で何をするか、彼女にはそれが欠けていた。
すぐさまアドバイスを送り、あとちょっと!と書き直しを求めました。
2日後、書き直しが届きました。そして、良かったら電話したいとのこと。
既に東京にいたので、彼氏さんに断って、初めて直接おしゃべりをしました。
(お互いにドキドキしあっていたみたいで、聞いていた彼氏さんに「何度「はじめまして」っていうつもりなん(笑)」なんて突っ込まれるぐらい、お互いに挨拶を繰り返してました(笑))
初めて聞いた声は、上がってたみたいだけど、とても明るくて、礼儀正しくて、
そして、しゃべると更につたない私のアドバイスを、きちんと理解してくれる賢さがあって、
あぁ、この子なら2次まで進めれば大丈夫だな、って確信しました。
「大学で、何を考えていきたい?それが裁判官になったときの思考のベースになるんじゃない?それが、大学で学ぶことの意味じゃない?」と伝えると、
「なるほど!気がつきませんでした!」と、すぐさま理解してくれました。
電話では、今まで文章の上では添削しきれなかった構成の部分などの変更を伝え、
最後の書き直しをすることになりました。
そして一昨日。
最後の書き直しをほんの少しだけ添削して、電話で説明して、
志望理由書がとうとう完成しました。
AOの志望理由書。
人によって書き方は様々であろうけれど、
「何になりたいか」は、ゴールにしか過ぎず、「大学で何を学ぶか」も、重要なのだと思います。そして、それをとことん考えた上で入学するからこそ、大学生活が目的意識を持ったものになるのだと思います。
彼女の志望理由書を読むにあたって、自分の志望理由書を引っ張り出して読んでみました。
「少年犯罪に拘わらず、現代社会において多くの前例のない犯罪が起こっている。21世紀、これからますます過去に起こりえなかった犯罪が起こるだろうと考えられる。
そのような場合に現行の法律では適応しきれない状況も起こり得る可能性がある。
これらの点を踏まえた上で、加害者、被害者、どちらにも、どのような社会的、法的措置を取るべきなのか、大学在学中に研究し、提言していきたい。」
私は、ゴールは変わってしまったけれど、
「何を学ぶか」は変わっていなかったことに気がついたのです。
自分自身が研究していることは、まさに、21世紀に入ってから起こり始めた問題であり、
論文を書くと言うことは、それがどれだけ小さな力であっても、社会に何かを提言するものだと。
彼女と出会ったこと。
もちろんそれは、第一義に、彼女が合格するための手助けをするためのものです。
ですが、私にとっては、「縁」を感じるものであり、
「自分自身が今すべきことは何か」「何故、したいのか」ということに対しての思いを新たにするための、大切なきっかけのように思います。
私の大学生活は、7年の間にゴールは変わったけれど、決して無駄な7年間ではなかった。
後に続く、自分と同じ志を持った若い子に対して、
私がするよりももっと良い未来を作るための手助けができたのなら、何もゼロじゃない。
バトンタッチと言うのが適当かはわかりませんが、自分自身の未来も続いたように思えて、
本当に嬉しかったのでした。
なんだかちょっと、母親のような気分に近いのかも知れません。
そうは言っても、あとは筆記とグループディスカッションで彼女自身が頑張るのみ。
無事合格してくれたらいいな、と願ってます。
それが一番の私のご褒美になるなぁ。本当に。
ほんの些細な数週間の出来事。だけど、忘れられない、不思議な出会いでした。
ありがとう。
彼女の妹さんのAO入試の志望理由書を添削していました。
その後輩は、学会の時に一緒に受付だった子。
受付の合間に、私がAOで大学に入ったことや、母の教え子の志望理由書の添削を毎年しているということを話していたのを覚えていたようで、今回、お話がありました。
私も彼女には学会中も学会後も、色々とお世話になっており、何か恩返しをしたかったので、
私だけでなく、第三者の添削も平行して行う、という条件付きで(私は素人なので)、
快く引き受けさせて貰いました。
そんなこんなで、気軽に引き受けた添削。
今回の志望理由書の添削は、私にとっても、自分の人生について色々な事を考えさせてくれるものでした。
まず感じたのは、人との「縁」。
よくわからないけれど、私の周りにはたくさんの出会いが恵まれているようです。
一番最初に送ってくれた志望理由書。私の目に飛び込んできたのは、
「私の将来の目標は家庭裁判所調査官になることだ。」の一文でした。
「自分自身が、人との出会いによって変わったように、少年たちも、人との出会いで変わることができると思う。その手助けがしたい。」
どきっとしました。
まるで自分自身が高校生に戻って、志望理由書を書き直してるんじゃないか、と思うぐらい、
志望理由書の内容は、昔の私が考えていたことが純粋に書かれていました。
あぁ、これは「縁」なんだなぁ、と、直感で感じました。
M2になり、一つの志を持って入った大学での生活が終わりに向かっている私に、
来年から、私と同じ志をもって入学したいと目指す子が出会う。
この出会いは、お互いにとって考えるチャンスを神様が与えてくれたのかも知れないって感じたのでした。
次に感じたのは、自分自身が「法学部で学ぶことの意味」。
彼女が志望理由書を書く中で、一番かつ唯一、引き出していくのに苦労した部分でした。
送ってくれた志望理由書は、コメントで添削を入れて、
最後の頁には、私も調査官を目指してAOを受験したことなんて個人的なことや、
志望理由書に書かなくてはならないことや、考えておくべき事といったアドバイスを書いて返信していました。
2日と立たず、彼女は書き直しを送ってくれました。
そうして、同じようなやりとりが数度、続きました。
毎回、私のつたないアドバイスをきちんと理解してくれて、
彼女の志望理由書は格段に良くなっていきました。
それでも、あと少し、何かが足りない。
志望理由書としては、8,9割、完成している。
なのに、大学のアドミッションポリシーに書いてある、求める学生像を何度読んでも、
何かが足りない気がする、という感覚が払拭できず、とうとう母に相談してみました。
彼女の志望理由書を一読した母は、一言、
「良く書けているけれど、「社会性」がないよね。
「法学部の人間」としての芽を感じさせるような事を書かなきゃね」と、
アドバイスをくれたのです。
「法学部の人間」としての社会性。
なるほど、と思いました。
まだまだ、彼女は「裁判官になる(書き直しの過程で、目標が裁判官に変化)」から、
そういう授業を受けたい、というだけに過ぎない志望理由書だったのです。
法律を覚えたいだけなら、受験予備校に行けばいい。
「法学部」で学問を修めることの意味は、もう一歩進んで、法律を学び、制度を学び、
それを「変える側」の人間として、どのように変えていくべきかを考えるためにある。
それが、法学部の人間として社会にコミットしていくための方法なんだと気がつきました。
大学で何をするか、彼女にはそれが欠けていた。
すぐさまアドバイスを送り、あとちょっと!と書き直しを求めました。
2日後、書き直しが届きました。そして、良かったら電話したいとのこと。
既に東京にいたので、彼氏さんに断って、初めて直接おしゃべりをしました。
(お互いにドキドキしあっていたみたいで、聞いていた彼氏さんに「何度「はじめまして」っていうつもりなん(笑)」なんて突っ込まれるぐらい、お互いに挨拶を繰り返してました(笑))
初めて聞いた声は、上がってたみたいだけど、とても明るくて、礼儀正しくて、
そして、しゃべると更につたない私のアドバイスを、きちんと理解してくれる賢さがあって、
あぁ、この子なら2次まで進めれば大丈夫だな、って確信しました。
「大学で、何を考えていきたい?それが裁判官になったときの思考のベースになるんじゃない?それが、大学で学ぶことの意味じゃない?」と伝えると、
「なるほど!気がつきませんでした!」と、すぐさま理解してくれました。
電話では、今まで文章の上では添削しきれなかった構成の部分などの変更を伝え、
最後の書き直しをすることになりました。
そして一昨日。
最後の書き直しをほんの少しだけ添削して、電話で説明して、
志望理由書がとうとう完成しました。
AOの志望理由書。
人によって書き方は様々であろうけれど、
「何になりたいか」は、ゴールにしか過ぎず、「大学で何を学ぶか」も、重要なのだと思います。そして、それをとことん考えた上で入学するからこそ、大学生活が目的意識を持ったものになるのだと思います。
彼女の志望理由書を読むにあたって、自分の志望理由書を引っ張り出して読んでみました。
「少年犯罪に拘わらず、現代社会において多くの前例のない犯罪が起こっている。21世紀、これからますます過去に起こりえなかった犯罪が起こるだろうと考えられる。
そのような場合に現行の法律では適応しきれない状況も起こり得る可能性がある。
これらの点を踏まえた上で、加害者、被害者、どちらにも、どのような社会的、法的措置を取るべきなのか、大学在学中に研究し、提言していきたい。」
私は、ゴールは変わってしまったけれど、
「何を学ぶか」は変わっていなかったことに気がついたのです。
自分自身が研究していることは、まさに、21世紀に入ってから起こり始めた問題であり、
論文を書くと言うことは、それがどれだけ小さな力であっても、社会に何かを提言するものだと。
彼女と出会ったこと。
もちろんそれは、第一義に、彼女が合格するための手助けをするためのものです。
ですが、私にとっては、「縁」を感じるものであり、
「自分自身が今すべきことは何か」「何故、したいのか」ということに対しての思いを新たにするための、大切なきっかけのように思います。
私の大学生活は、7年の間にゴールは変わったけれど、決して無駄な7年間ではなかった。
後に続く、自分と同じ志を持った若い子に対して、
私がするよりももっと良い未来を作るための手助けができたのなら、何もゼロじゃない。
バトンタッチと言うのが適当かはわかりませんが、自分自身の未来も続いたように思えて、
本当に嬉しかったのでした。
なんだかちょっと、母親のような気分に近いのかも知れません。
そうは言っても、あとは筆記とグループディスカッションで彼女自身が頑張るのみ。
無事合格してくれたらいいな、と願ってます。
それが一番の私のご褒美になるなぁ。本当に。
ほんの些細な数週間の出来事。だけど、忘れられない、不思議な出会いでした。
ありがとう。
by chihiro_1984_20xx
| 2008-09-26 13:26
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