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by chihiro_1984_20xx

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いちごいちえ。

後輩に誘われて、今日はワインとコースを楽しんできた。
その帰り。
閉まったデパートの前の道に、
色とりどりの写真が並べられているのに、私は思わず釘付けになってしまった。


売っていたのは外国から来た男の人。
7年間、100カ国以上の国を旅して、写真を撮ってきたらしい。

いろんな国の風景の写真、
色鮮やかな空や海の写真、
人の笑顔。笑顔、笑顔。

所狭しと並べられた写真たちは、
色鮮やかな様も、白黒の味のある感じも、
それぞれに作品としてひとつの完結が見えて、
でも、それぞれに主張しあっていて、
どれもが素晴らしくって、思わず連れ立った後輩を無視して夢中になってしまった。


ただ、どうしてだろう、
そんなに素敵な写真たちばかりだったのに。
私はどうしても感じてしまった。
「なんだか、寂しいね」って。呟いてしまった。


暖かな笑顔に向けられた、写真家の名もなき「彼」の心が寂しいのか、
それとも、笑顔の主体が寂しいのか、
風景に人がいないから寂しいのか、
自然とは元来孤独なもので、だからこそ、寂しいと感じるこの気持ちこそが当たり前なのか、

むしろ、私が寂しいのか。

とにかく、寂しいと思わずにはいられなかった。


そんな、不思議な心持の中で、私はどうしても彼の写真がほしくなってしまった。
一枚は、一目見て気に入った写真。
一枚は、なんだかこれじゃないといけないような気がした写真。


選んだ写真を彼は手に取り、写真の被写体の少女を指差して、
「この子はニュージーランドで出会ったよ。好きな子だった」
って言いながら、私の名前とサインを入れてくれた。

お代は任意で、って言いながら、ちゃんとボーダーがあって、
あんまり安い買い物じゃなかったけれど。

彼はこのお金でまたどこかにいくらしい。
だから、いいか、って思った。
彼がまた何かを見てきてくれて、また何かと出会ってくれて、
もし、彼が寂しいのであれば、その旅の先のどこかで、
暖かな家を見つけ出せるのであれば、
このお金の価値は、私が使っていたはずのもの以上になることだろうと、
このお金がその幸せに、もしも繋がるのであれば、
それはなんと幸せなことなんだろうと、
なんとなく、思った。

ほんの些細ないちごいちえ。

私の手には、今日の出会いの思い出が。
今日のそのちっぽけな願いと、彼という人がいたという証拠と、記憶が残った。
彼の手には、明日を生きていくためのささやかな具体的な可能性が残った。

彼の人生が、幸多からんことを。
そうして、
互いの道が、
願わくばまたどこかで結びつくといい。
記憶の片隅の、路傍の石のような、
であい、に、そう願った夜でした。


いちごいちえ。_c0048381_0492529.jpg


いちごいちえ。_c0048381_1191510.jpg
by chihiro_1984_20xx | 2006-05-31 00:49 | 今日のできごと