人気ブログランキング | 話題のタグを見る



by chihiro_1984_20xx

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

ライフログ


決定版 ほんとうにわかる管理会計&戦略会計 [PR]

カテゴリ

全体
映像(映画、TV番組)
芸術(舞台・絵画など)
読書
音楽
旅(散歩含む)
詩・言葉
バトン
真面目なこと(勉強、刑事関連)
真面目なこと(その他)
悟ったこと(気持ち・覚悟)
今日のできごと
就職活動
ごはん
ウエディング
写真と徒然

以前の記事

2010年 01月
2009年 06月
2009年 05月
more...

ブログパーツ

コンテンツ&リンク

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧

魂を吐く

魂を吐く_c0048381_11255757.jpg









昨日、我が家の犬が天国に旅立ちました。

色々な疾患が重なっての1年間の闘病の末の死でした。
4キロ近くあった体重は半分になり、
毛もほとんど抜けてなくなり、最後の一ヶ月は寝たきりでした。

就活を終えた私は毎日家に籠もり、ほぼ付きっきりでした。



これまで、3人の人間を見送ったけれど、
死の瞬間に立ち会ったのは初めてのことでした。

お昼。午後1時ちょっとまえ。
水をよく飲んだから、食欲が出たのかな、と、
食事代わりにあげていた粉ミルクを作りに立ち、
彼の元に戻ってきたとき。
いつもとは違う息をしていました。

明らかに、いつもの酸素を求めるような息ではない、
深くて規則的な呼吸。

虫の知らせなのか、動物の直感なのか。

私は無我夢中で彼を抱き上げて、何度も何度も名前を呼びました。

「みるく、みるく!」

彼は、目も開けたまま、同じようないくつかの息を吐き、
何も言わなくなりました。
私の手の中で。

それでも体は温かくって、状況なんてつかめなかった私は、
何度も何度も名前を呼んで、人工呼吸をして、胸を揺すって、
水をあげて、呼びかけて、呼びかけて。

出て行ってしまった魂は、手から離れた風船みたいに、
もう、掴んで引き戻すことはできませんでした。

母と連絡がつくまでの40分間。
母が帰ってくるまでの1時間。

あんなに長く、目の前が真っ暗になった時間はありませんでした。

どうすることもできなくて、でも、何かできると信じたくて。
目の前の彼はまだ温かくて、死んだとは信じれなくて。

私一人では現実を理解できず、
死後の弛緩した体から出てきた便や尿をいつもの排泄だと思い込み、
いつものように片付けて、体を拭き、
母が帰ってくるまでずっと、彼の名前を呼んで、
段々冷たくなってきた体を、ずっと抱きしめていました。

「みるく、みるく、お母さん帰ってくるよ。
それまで頑張って。もう一度だけでいいから、頑張って」

涙でぐちゃぐちゃになって、訳がわかんなくなって。
それでも体を揺さぶり続けていました。
最後は絶叫に近かった気がします。

電話口で声を詰まらせた私に異変を察した母は大急ぎで帰ってきて、
すっかり穏やかになった彼に、一言、
「がんばったね」と言いました。
その一言にようやく、あぁ、死んだんだ。と悟り、
私自身の体から力が抜けていくのを感じました。

魂を吐く瞬間があるんだね。
理解できたのに。
どうすることもできない瞬間でした。


2万5千円で、死んでから3時間で、
彼は骨になり、骨壺に入り、家に帰ってきました。
今朝も何事もなく地球は回り続けています。


よくわかんないけど、すごいな、って思います。


みるくは、私の中学受験合格祝いでうちにやってきた犬でした。
ちいさくて、弱々しかったマルチーズでした。

買った日に、彼の小さな体を抱いて車に乗って家に帰ったことを、
亡骸を抱えて火葬場に向かうタクシーの中で思い出しました。

あの時と同じ大きさで、私が抱いて家に連れ帰り、
12年を過ごし、
今度は、私が抱えて、見送りにいきました。


私と同じ干支、同じ誕生日でした。
買った後に来た血統書で知ったから、とっても嬉しかったな。
運命と呼ぶにはあまりにも出来過ぎていて、
でも、「特別」と思えるだけの喜びがそこにあった。

12年間。
24歳の私の人生のちょうど半分、
私は彼と一緒に人生を歩んでくれたのでした。



今、私が言えるのは、
たくさんのごめんなさい。
たくさん、甘えてたことに気がついた。
家を留守にして寂しい思いをさせて、
時には疎ましくも思ったこともあった。
もっと、手厚く看病もできたかもしれない。

ペットだから、我慢させるのは当たり前。
絆は、「絆す」ものでもあるから、
疎ましく思うこともあるのは当たり前。
だけど、やっぱり、ごめんなさい。ごめんね。


そして、たった一つのありがとう。
私の隣にいてくれて、ありがとう。


頑張ったね。




***



そして、この1年間。母の愛情の深さを思い知りました。

一日中、高校で授業をして、
帰ったら家事をして、夜はほぼ寝ずに犬の看病。
毎月かかる犬の高い病院代を出し、
私が就活の間は、私の支えにもなってくれた。
母は一瞬たりとも休まずに、
一言も文句を言わず、
精神的にも、実質的にも、誰かの助けになっていました。


そして昨日、家に帰ってきて、
みるくに最初に書けた言葉は、
「一年間、よく頑張ったね」だったのです。

自分の悲しみよりも、自分の一年間の看病に対する思いよりも、
みるくが感じていた1年間の苦しみに対するねぎらい。


どこまでこの人は、人を愛することができる人なんだろう。


強く思い知りました。
本当に、母親の愛情のすごさを感じました。
同時に、自分自身の未熟さも。


私も、母のように愛せる人になりたい。
でも、こんな風になれるんだろうか。
by chihiro_1984_20xx | 2008-05-28 11:26 | 悟ったこと(気持ち・覚悟)